2018.04.01 鉄欠乏性貧血

  • 貧血の女性血液は様々な成分でできていますが、その中で最も多いのが赤血球です。赤血球には赤い色素を持つヘモグロビンが含まれており、主成分は鉄です。
    鉄は成人でも体内に約4gしかない微量な元素で、タンパク質と結合して肝臓や骨髄に貯蔵鉄として存在する他、赤血球内にあって酸素を体内のすみずみまで運ぶ役割を果たしています。
  • 貧血とは

     

    貧血状態貧血とは、何らかの原因によって赤血球が減少した状態のことをいいます。赤血球が減少すると酸素を十分に取り込めなくなり体は酸欠状態に。
    体は酸素不足を解消しようと、できるだけ多くの酸素を全身に送ろうとするので、息切れや動悸が起こります。

    鉄は体内で造り出せないので、不足分は食事や薬剤で補充することになります。

  • 女性に多い鉄欠乏性貧血

     

    *** 思春期 ***思春期の女の子
    成長期でもあるため、もともと鉄の需要が高まっている時期に、初潮期以降の思春期の女性ではさらに鉄が失われ、貯蔵鉄も不足気味に。
    そのうえ、美容上の理由などから偏食に走りがちなのも一因となっています。

    思春期の貧血は妊娠貧血の誘因となりますので注意が必要です。

    *** 妊娠期 ***妊婦さん
    この時期の貧血は、未熟児出産や乳児貧血の発現など多くの悪影響が現れます。
    鉄分の多い献立にするなどの工夫をして、鉄剤の服用も考慮するなど鉄分の補給を心掛けましょう。

  • 貧血セルフチェック

     

    なんとなくだるい、疲れやすい、肩こり、頭痛、朝起きにくいなどの症状を感じる人の中に、貧血の人が意外に多くいると言われています。
    貧血セルフチェック
    以上の項目に該当する数が多いほど要注意です。
    貧血を放置しておくと健康にさまざまな悪影響が出てきます。

  • 暮らしの中のチェックポイント

     

    *** 出血 ***
    鉄の不足以外で貧血を引き起こすのは、胃や腸などの消化器からの出血です。
    また女性では子宮筋腫などの婦人科系の病気による出血があります。
    他に尿路系の出血、男女共に注意したいのは痔です。

    出血を伴う慢性の病気は早期の受診・治療をしましょう。

    *** 栄養・運動・睡眠 ***
    バランスのとれた食事に加え、規則正しい生活、十分な睡眠を心掛けましょう。
    運動量は貧血の程度により自然に加減されますが、医師の指示に従いましょう。

    *** その他 ***
    鉄分を多く摂ると腸の働きが弱まりがちです。
    食物繊維を多く摂るなど、便秘の予防を心掛けましょう。

  • 鉄を含む食品を上手に摂取

     

    食物に含まれている鉄には、ほうれん草など主に野菜に含まれる非ヘム鉄と、レバーなど主に内類に含まれるヘム鉄の2種類があります。
    ヘム鉄は非ヘム鉄に比べ吸収が5倍も良いです。
    成人男性10mg、成人女性12mgの摂取量を目指しましょう。

    鉄欠乏性貧血のメニューで最も大切なことは一日の栄養摂取量を満たすバランスの良い材料に加え、効率の良い鉄の補給を考慮し、調理の工夫として酸味・香辛料・香味野菜を上手に取り入れることです。

    どれも胃液の分泌を良くするので、鉄の吸収を一層促します。

  • 鉄剤について

     

    鉄欠乏性貧血で食事療法では不十分な場合、薬剤で鉄を補給することになります。
    普通は飲み薬を服用しますが、胃腸の状態が悪く服用できない時には注射や点滴をすることもあります。

    鉄剤の服用はかなり長期間に及ぶのが普通です。吸収が徐々に行われ、体内への鉄の蓄積に時間がかかるためです。
    途中で勝手に服用を中止すると、すぐ貧血の状態に戻ってしまいます。症状が良くならなかったといって薬の服用を中断したり、逆に服用量を増やすことは禁物です。

    鉄剤の服用中、便が黒色になることがありますが、鉄が腸内で変化したものですので心配いりません。