2018.05.15 歯の欠如
- 人間の歯が全部で何本あるかご存知ですか? 本来、乳歯は20本、永久歯は親知らずを除くと28本生えます。
しかし、歯の形成異常によって生まれつき1~数本、中にはまったく歯が生えてこないことがあります。あなたは上下合わせて何本の歯が生えていますか? 28本生えていますか?
親知らずはどうですか?
私たちの歯のもと(歯胚)は、お母さんのおなかの中にいるときに形成されます。
妊娠7週目頃から顎骨の中で乳歯の芽(歯胚)が作られ、4ヶ月後半には歯の石灰化が始まります。驚くことに永久歯の歯胚も胎生4ヶ月頃にはでき始めます。
そして誕生を迎える頃になると、乳歯の生える準備は完了です。
永久歯の石灰化もこの頃には始まります。親知らず以外のすべての歯が、生後9ヶ月くらいまでに準備されます。親知らずは4歳くらいまでに歯胚が作られます。
何らかの理由で歯のもととなる「歯胚」が作られないために、生えてくるはずの歯が生えてこないことを『先天性欠如』といいます。
先天性欠如歯の原因ははっきりと分かっていませんが、遺伝、母親が妊娠初期にかかった疾患、栄養不足や薬物の副作用、ダウン症や骨形成不全症などの全身疾患も影響していると考えられています。
また、食生活の変化で必要となくなった歯が退化しているという説もあります。
永久歯列28本の中には含まれていませんが、欠如歯としてよく知られている親知らず(第3大臼歯)が、その説を有力なものにしています。しかしながら、どれもはっきりとした因果関係があるわけではなく、残念ながら予防法もないのです。
日本小児歯科学会が2007~2008年に行った全国調査によると、7歳以上の子どものおよそ10人に1人に先天性欠如歯が確認されました。乳歯に先天性欠如がみられるのはまれですが、乳歯に先天性欠如があると永久歯も欠如しやすいといわれています。
永久歯の先天性欠如歯は、親知らずの他に、側切歯と呼ばれる真ん中から2番目の歯、第二小臼歯と呼ばれる真ん中から5番目の歯に多くみられます。
乳歯が永久歯に生えかわるとき、破骨細胞によってしだいに歯根が吸収され、やがて自然に抜け落ちます。
しかし、生えかわる永久歯が欠如していると、乳歯の根が吸収されず、大人になっても乳歯がそのまま残っていることがあります。
ですが、乳歯は永久歯に比べてむし歯になりやすく歯根も短いため、やがては抜けてしまうことになります。
歯の先天性欠如は、幼児期からの『かかりつけ』歯医者さんによってわかることがほとんどです。
治療については、かかりつけ歯科医の指導のもと、長期的な治療計画に基づいて適切な時期に適切な治療をおこなっていくことになります。
また欠損歯数や欠損部位によっても治療方法は異なってきます。
○乳歯を大切に使っていく方法
○矯正治療で歯を移動させる方法
○ブリッジを入れる方法
○インプラントにする方法
○入れ歯にする方法
などがあります。
治療法には健康な歯を抜かなければならなかったり、削らなければならないこともあります。状態によっては選択肢が限られる場合もありますし、保険が適用されない治療法には費用の面でも大きな負担となります。
信頼できるかかりつけの歯科医院で、どのような方法で治療を進めていくのかじっくりと相談して決めていきましょう。
2018年5月15日 9:00 AM ishigami