2018.06.15 歯周病
- 歯を失う原因№1といわれる歯周病は、口腔内に棲みつく細菌による感染症です。
かつては「歯槽膿漏」と呼ばれていました。歯周病菌が繁殖して歯肉に炎症が起こり、腫れたり出血したりして、徐々に歯の土台である歯槽骨を溶かし、最終的には歯が抜け落ちてしまう病気です。
日本人の成人のおよそ8割が歯周病に罹っているといわれています。
私たちの口の中には、何百種類もの細菌が棲んでいます。歯周病菌もその中のひとつです。
口の中が不潔になってくると、歯の周囲のすき間に細菌同士がかたまり「=歯垢(プラーク)」となって付着し、炎症を起こします。
初期の段階ではほとんど自覚症状がなく、徐々に歯周組織を破壊していくため、出血や膿が出て症状に気づいたときにはかなり進行してしまっている、ということが多いのです。
歯周病予防に効果的なブラッシングは『バス法』です。
基本は、歯ブラシをペンのようにして持ち、ブラシの先を歯に対して45度の角度で、歯と歯ぐきの境目あたりに軽く押し当てて小刻みに動かします。しかし歯の並び方は人それぞれ違いますし、磨き方のクセなどによって歯のどの部分に磨き残しが起こりやすいのかは自分では気づきにくいものです。
定期的にかかりつけの歯科医院で検診を受け、ご自分に合ったブラッシングの指導を受けることをおすすめします。
今のあなたの歯周病危険度をセルフチェックしてみましょう。
当てはまる項目が多いほど歯周病が進行していることが考えられます。
早めに歯科検診を受けることをおすすめします。
歯周病は細菌による感染症であるため、それが血液や唾液などに混じり全身にまわるとさまざまな病気を引き起こす原因になることが明らかになってきました。
唾液が誤って気管に入ると、唾液中の細菌によって肺炎を引き起こすことがあります。
咳反射が低下している高齢者に多くみられます。歯周病菌などの有害菌によって血管壁が炎症し、動脈硬化の進行を助長させるため、脳梗塞や心筋梗塞などの発症リスクが高まります。
口の中の歯周病菌が血液を通して胎盤に入り、胎児の成長に影響を与えたり、子宮収縮を促し早産をおこすリスクがあることが確認されています。
特に、影響の大きい疾患として糖尿病が注目されています。
歯周病菌によってインスリンの働きが阻害されるため、血糖値のコントロールが難しくなり、糖尿病の経過に悪影響を及ぼします。糖尿病になると細菌を退治する白血球の機能が阻害され、抵抗力が著しく落ちてしまいます。
そのため、糖尿病の人は歯周病になりやすく進行も早いのです。次号(7/1号)では相互に深い関係のある『糖尿病』についてご紹介します。
2018年6月15日 9:00 AM ishigami