2015.12.15 フッ素の働き
- 「フッ素」と聞くと何を思い浮かべますか。車のボディやフライパンにはフッ素を含む合成樹脂がコーティング剤として使用されていることは、皆さんもよくご存知だと思います。
そしてこの他にも、じつはむし歯予防にとても効果があることが一般的にかなり広まってきているんです。
フッ素は私たちの身近に自然に存在する元素のひとつで、多くの食品にも含まれる栄養素のひとつです。フッ素とはいったいどんな物質で、歯にどのような効果をもたらすのでしょうか。
太古の昔から広く存在する自然環境物質ですから、人間が新しく作り出した薬や添加物とは全く異なるものなのです。一般的には「フッ素」と呼ばれていますが、反応性の高さから通常単体では存在しません。ナトリウムと結びついたフッ化ナトリウム、カルシウムと結びついたフッ化カルシウムなどのように、様々な物質と結びついて「フッ素化合物(フッ化物)」として存在しています。
普段の食事からも自然に摂取されているフッ素ですが、このフッ素は歯の表面のエナメル質を保護し、より硬い構造へと変化させます。さらに唾液の働きを活発にさせ、歯の再石灰化を助けるのです。
しかし残念ながら、むし歯予防に十分な量のフッ素を食事からだけで得ることはできません。
生えてきたばかりの乳歯や永久歯は、歯の質が弱くむし歯になりやすいため、多くの自治体が、乳幼児健診時の歯科検診でフッ素塗布をおこなっています。しかし、この効果はずっと続くわけではありません。
保健所でのフッ素塗布をきっかけとして、その後も継続していくことが望ましいです。***『家庭で毎日』***
家庭でいちばん一般的で実行しやすいフッ素の使い方は、フッ素入り歯みがき剤でみがく方法です。市販のフッ素配合歯みがき剤に含まれるフッ素は低濃度(500~1,000ppm)で、毎日使い続けることで再石灰化の促進や、
むし歯菌が酸を作るのを抑制させる効果が得られます。***『歯医者さんで定期的に』***
お口の状態によって異なりますが、年に2~4回クリニックで定期的に塗布を受ける方法です。
医療機関で使用するフッ素は高濃度(9,000~12,300ppm)で、特に歯質の強化が期待できます。*歯面塗布法
*トレー法
*イオン導入法 などの方法があります。
WHO(世界保健機関)をはじめとする世界中の専門機関、日本の自治体や多くの団体もフッ素の効果を公式に認めていますが、フッ素の安全性や効果に関して一部研究機関の間では、ずっと以前から議論されています。
どんな薬や、ビタミン、ミネラルであっても、過剰に摂り過ぎれば人体にとっては有害で、フッ素についても同様です。乳歯むし歯の予防に大きな効果が期待できるフッ素塗布ですが、幼いわが子に与える影響については、お母さんたちの不安も容易に理解できます。
まずは専門家(歯科医師・歯科衛生士)に相談してみてください。フッ素のメリット・デメリットを知ったうえで、ぜひ有効に利用してほしいと思います。
フッ素塗布を定期的におこなっていても、毎日の生活の中でむし歯予防の習慣を継続していくことは大切です。
歯みがきがきちんとできているか、食事やおやつの時間、
食べ方なども見直してみてはいかがでしょうか。
2015年12月15日 10:49 AM ishigami