2016.03.01 不眠の悩み
- 私たちのからだには、本来夜暗くなると眠くなり朝になると目が覚める、睡眠と覚醒のリズムが備わっています。
それは私たちの体内時計が刻む、生体リズムに強く支配されているからです。しかし今の現代社会では、昼夜のサイクルと体内時計が合わず、生体リズムに乱れが生じ、質のよい睡眠をとることが難しくなっている人が少なくないようです。
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厚生労働省の研究班がおこなった調査によると、「夜なかなか寝つけない」「夜中に何度も目が覚める」などの不眠の悩みを抱える人は、成人の約35%にみられることがわかりました。
しかし人それぞれ最適な睡眠時間は違います。
「眠りが浅い気がする」など十分な睡眠がとれていないと感じる人でも、日中、疲労感や眠気を感じず元気に活動できているのであれば治療の必要はないようです。もし長期間にわたる不眠の症状に加え、日中に以下のような症状がある人は注意が必要です。
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そもそも人はなぜ眠るのか? それは私たちのからだに備わった主に2つのシステムが関わっています。
私たちは覚醒している時、脳も身体も活発に活動しています。なかでも脳のエネルギー消費量はからだ全体のエネルギー消費量の約20%もの割合を占めています。疲労を感じると脳は休息を求めます。これが疲労の蓄積からくる1つめのシステム「睡眠欲」です。
睡眠は脳を休め、筋肉を休め、細胞の新陳代謝を高めたり免疫力の強化など、心身の機能を回復させています。2つめのシステムは「体内時計」による生体リズムが導く眠りです。
体内時計の周期で、睡眠と覚醒に深く関わっているのが約24時間で刻まれる概日リズム(サーカディアンリズム)です。私たちが持つサーカディアンリズムは24時間よりわずかに長いのですが、朝の陽ざしを浴びることでリセットされ、このサイクルを守っています。
朝の太陽光を浴びてから14~16時間後、松果体からメラトニンの分泌が盛んになります。メラトニンの働きによって手足から熱が発散されて深部体温が下がり、自然な眠りへと導きます。 -
不眠のきっかけとなるのは、ストレスや悩みごとなどの心理的なことから、痛みやかゆみなどの身体的なことまでさまざまです。
これらの理由で一時的に不眠になっても多くは自然と回復しますが、理由に関係なく不眠の症状が続いてしまうこともあります。もしかしたらそれは間違った睡眠習慣が原因になっているのかもしれません。
質のよい眠りを得るためにも、今の睡眠習慣を見直してみましょう。★就床前4時間はコーヒーなどの刺激物は避け、好きな音楽を聴いたりアロマを楽しんだり、リラックスして過ごそう。
★就床時刻にこだわりすぎないで。少しくらい遅寝になっても眠くなってから床に就くようにしよう。
★起床時刻は一定にしよう。早起きすることが早寝に通じる。
★起床したら朝の陽ざし(早朝覚醒気味の人は午後の光)をたっぷり浴びよう。夜の照明は明るすぎないように。
★タブレット端末やスマートフォンから発せられるブルーライトにも要注意! 就床1時間前にはやめよう。
★朝食と夕食を規則正しく摂ろう。代謝のリズムが強化され体温のリズムにもメリハリが。
★昼寝をするなら15時前(できれば午前中)の20~30分で。
★適度な運動習慣を。就床前の軽いストレッチも快眠に効果的。
(参考文献:睡眠障害の対応と治療ガイドライン)
2016年3月1日 11:09 AM ishigami