2016.03.15 歯の治療、中断していませんか?
- 2014年(平成26年)12月に、大阪府歯科保険医協会が2カ月かけて会員医療機関に受診実態調査をおこないました。その調査でおよそ9割の歯科診療所に『この半年間に何らかの理由で治療の中断・中止の事例があった』ことがわかりました。
仕事が忙しくて治療途中のまま予約を先延ばしにしている。予約日に行くのを忘れてしまい、行きづらくて治療を中断している・・・そんな心当たりのある方もいるのではないでしょうか。
来院時に痛みがひどい場合、歯の周りをクリーニングしたり、切開して膿を出すなどの応急処置をおこないます。
その後、治療内容や治療計画などを説明し、次回から本格的な治療に移る場合が多いです。応急処置によって一時的に症状は改善されますが、根本的な原因が取り除けているわけではありません。そのまま治療を中断してしまうと、以前にも増して症状が悪化してしまいます。
正しい噛み合わせを調整するためや、被せ物が出来上がるまでの間に仮歯をつけます。ある程度噛めるようになり審美性も保たれるため、その後の通院がおっくうに感じてしまうことがあるかもしれません。しかし、仮歯はプラスチック樹脂でできているため長期間の耐久性はありません。仮歯のまま治療を中断してしまうと、仮歯がだんだんとすり減ってしまい、噛み合わせ調整のために装着していたはずが逆に噛み合わせを悪くしてしまったり、更に歯を削ることになってしまうこともあります。
そうなるとせっかく作った被せ物も合わなくなり再調整が必要になったり、最悪の場合は作り直しになってさらに時間と経費がかかってしまうことにもなりかねません。
歯の根っこの治療は痛みが無くなった後も数回通院が必要となることが多く、治療の中断を招きやすい状況にあります。歯の内部は外部に比べてとても弱いため、放置すると歯の根っこが汚れてしまい、そこからまたむし歯になってしまうことがあります。
また、神経を取ると歯に栄養がいかなくなってしまうため、ちょっとした衝撃で歯が折れてしまったり、ひどくなると抜歯をしなければならなくなることもあります。
歯の治療は「痛くなくなった=完治」ではありません。また風邪などと違って安静にしていれば治るものでもありません。歯科治療の中断は現状維持どころか、治療前の状態に逆戻り、さらにはもっと悪化させてしまうこともあるのです。予約を忘れてしまって行きづらい方もいると思いますが、「すみません、予約を忘れてしまって…」と思いきって再度予約の電話をしてみてください。
また歯医者さんからの「現在の治療状況」や「今後の治療計画」についての説明で、不安に思っていることや疑問に感じていることがあれば伝えましょう。
ドクターに言いにくい時は話しやすいスタッフでもかまいません。費用や期間などの目安がわかれば安心して治療を続けることができます。どうしても治療方針に理解が得られず中断せざるをえなかったという方も、できるだけ早く信頼できる歯医者さんをみつけて治療を再開してほしいと思います。
歯へのダメージを最小限に抑え、新たなトラブルを招かないためにも、治療が終わるまできちんと通院することが大切なのです。
2016年3月15日 9:00 AM ishigami