2017.2.15 幼児期の口呼吸
- 最近、口呼吸の子どもが増えているといわれています。「吸って、はいて」をくり返す呼吸は、私たちにとってごく自然な生活の一部であるため、多くの人は呼吸のしかたやしくみについて意識することなどないかもしれません。
でも、口呼吸には全身の健康にも悪影響を及ぼすさまざまな弊害が潜んでいることをご存知でしょうか。
とくに乳幼児期から口呼吸が習慣化してしまうと、顔の骨格の発育にも影響してしまいます。
私たちは口と鼻から酸素を取り込むことができますが、人間は本来、鼻呼吸を主として活動する生き物です。生まれたばかりの頃はおっぱいを吸うためにちゃんと鼻呼吸できているのですが、言葉の発達とともに口で呼吸することを覚えていきます。
鼻づまりなどが原因で呼吸がしづらくなってしまうと、口で呼吸をしたほうが楽にたくさんの酸素を取り込めるために口呼吸が習慣化してしまいます。他にも現代の食習慣による咀嚼回数の減少によって、重要な舌や口の周りの筋肉を鍛えることが少なくなってしまったことも、口呼吸の習慣化に影響していると考えられています。
ご存知の通り、鼻の穴の中には鼻毛やそれよりもっと細かい「繊毛」と呼ばれる毛、粘膜などがあって、これらが“フィルター”の役割をしてくれることで、ウイルスや細菌、ホコリなどが体内に侵入しないようにしています。
しかし、鼻で呼吸をすることなく口で呼吸をしてしまっていては、フィルターを通さずウイルスや菌もそのまま体内にとりこんでしまうことになるのです。
口呼吸にはどんなデメリットがあるのでしょう。
口の中を常に潤してくれる唾液には殺菌作用があり、口の中を清潔に保ってくれています。また歯の表面を再石灰化させる働きもあります。
口呼吸によって口の中が乾燥してしまうと、むし歯や歯周病になりやすく、また口の中の細菌が増えることで口臭もきつくなります。
口呼吸が習慣になっていると、舌の位置が下がって舌で歯を押し出すような力がかかってしまいます。
さらに本来上あごにくっついているはずの舌が下がっているために、舌によって押し広げられるはずの上あごの成長が抑えられ、歯並びにも影響を与えます。
『アデノイド顔貌』という独特な顔つきになってしまうことがあります。
これは鼻や上顎周辺の筋肉が使われないことでたるみ、骨格にも影響を及ぼすためです。
アレルゲンとなる物質が、鼻のフィルターを通すことなく直接口から侵入してしまうため、アレルギーを引き起こしやすくなります。
口を開けた状態で寝ると、舌が喉の方に落ちこんで気道を塞いでしまうため、睡眠時無呼吸症候群を引き起こしてしまうこともあります。
「もしかしてうちの子口呼吸かも・・・!?」と不安を感じたお母さんは、お子さんがしっかり鼻呼吸できるように一緒についてサポートしてあげてください。
小さいお子さんはまだ上手に鼻をかむことができないかもしれません。鼻づまりが慢性的にならないように、早めに耳鼻科や小児科を受診しましょう。
鼻の機能が衰えていると、鼻呼吸がとても息苦しく感じるかもしれません。鼻呼吸を意識させるためにお子さんへの声かけをお願いします。
舌やお口の周りの筋肉をしっかり鍛えましょう。お料理するときはいつもより少し大きめに食材をカットしたり、少し硬めに茹でたり、献立にも工夫をしてみてください。おやつにはスルメや小魚、おせんべい、グミといった噛みごたえのあるものをプラスして。
すでに歯並びに問題があってうまく口を閉じることができないこともあります。鼻呼吸を意識するあまり、閉じにくい口を無理に閉じている様子は見られませんか?
気になるようすが見られたら、早めに歯科で相談することをお勧めします。
とてもシンプルでお子さんでも簡単に楽しめるお口の体操です。
口の周りの筋肉を鍛え、舌を正しい位置に戻してくれる効果があります。
2017年2月15日 9:00 AM ishigami