2019.12.15 金属アレルギー
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ピアスやネックレスなどのアクセサリーを身に着けていて汗をかくと、アクセサリーが触れているところがかぶれたりかゆみを引き起こすことがあります。
直接触れた部分に症状が現れるため、装飾品から引き起こされる金属アレルギーは一般的によく知られています。しかし歯科治療で使用した金属が原因でアレルギーを起こすことがあるということは、あまり知られていないかもしれません。
通常、金属が人体に直接アレルギーを起こすことはありません。
しかし汗や唾液に含まれるタンパク質と結合して金属イオンになって溶け出すと、少しずつ体内に蓄積されていき、その許容量を超えたときアレルゲンとなってさまざまなアレルギー症状を引き起こします。アクセサリーなどの装飾品では接触部分に局所症状として皮膚炎を発症したり、歯科金属がアレルゲンとなって発症する場合は歯肉炎や舌炎になったり、歯や歯肉が変色したり、また掌蹠膿疱症や発疹などの全身症状として現れることもあります。
歯科用の詰め物やかぶせ物に使用される金属にはさまざまなものがありますが、保険でも適応されている一般的なものは金銀パラジウム合金です。その他にも金、銀、白金の合金やコバルトクロム合金、インプラントの材料としても使用されるチタン合金などがあります。
金属アレルギーを引き起こしやすい金属として代表的なものがニッケル、コバルト、クロムといわれる金属です。
また、これらの金属は微量ですが食物の中にも含まれています。金属アレルギーを発症するかどうかは、人それぞれの許容範囲によって違ってきます。今は金属アレルギーでない人も、長期間金属イオンを取り込み続けているといつか金属アレルギーになってしまう可能性があります。
治療前にパッチテストや生活環境アレルギー検査などを行っておくことは予防にも有効です。
自分に対してのアレルギーを知っておくと、お口の中だけでなく、日常生活や体全体の健康管理にもつながります。
①原因物質の除去
原因となっている金属素材を取り除きます。
治療の際には砕片が体内に吸収されないように細心の注意を払って除去します。②メタルフリー素材へ置換
アレルギーを引き起こしやすい金属を含まないセラミックやレジン(樹脂)などの歯科素材に置き換えます。
メタルフリー素材は体に優しく、見た目も天然歯に近い審美性にも優れた素材です。反面、保険適用外となるため自費診療になります。
他の医院で治療したらまたアレルギーが出てしまった。アレルギーが出たからまた治療をしなおさなければならない…
そんなことのないよう、自分の体質や病歴を知っているかかりつけの歯医者さんを見つけることも大切です。
虫歯になったらかぶせ物、歯がなくなってしまったら義歯など、お口の健康が損なわれると必ず何らかの治療が必要になります。
金属アレルギーにならないためには、お口の健康を損なわないことが最善の治療法です。定期健診を受けたり、PMTC(プロによる歯の機械的清掃)、フッ素塗布などの予防を心がけ、一生使う自分の歯を大切にしていきましょう。
2019年12月15日 9:00 AM ishigami