2017.5.1 目の不思議
- 私たちの日常生活は常にさまざまな情報で溢れています。その外界から得る全情報の80%は目から得ているといわれているのですから、目の機能なくしてはどうすることもできないといった状態に陥ってしまうでしょう。
また、目はものを見るだけでなく、あなたの印象や感情までも周りに伝える力を秘めているのです。
(右の写真=アルメニアの写真家で物理学教授のSuren Manvelyan氏によるマイクロスコープを使った人間の目の接写。ブラックホールのような黒い瞳孔と、周りの虹彩は星雲のようで神秘的な宇宙を感じさせる。)
目の構造はよくカメラの構造に例えられます。明暗によって目に入る光の量を調節する虹彩は“絞り”、毛様体と連動して厚みを変える水晶体は“レンズ”、視細胞によって光を感じ映像を写しだす網膜は“フィルム”、といった具合です。
そして網膜で受け取った光の刺激は電気信号に変換され、視神経を伝って脳へと伝達されます。
さらに脳へと到達した後も細かい修正がなされて、初めてものが「見える」と感じるのです。
よく「盲点」のことを“人が気づかずにうっかり見落としている点”という意味で用いられていますが、「盲点」は実際に私たちの目にも存在しているものです。
マリオット盲点(盲斑)ともいわれていて、網膜上の視神経が束になって脳へと出ていく視神経乳頭という部分のことで、この部分には視細胞がありません。私たちがふだん盲点を意識することなく見えているのは、目から入った情報が脳の機能によって補完されて『見て』いるからなのです。*盲点を探してみよう!
① まず左目を閉じます。(左手で左目を覆ってもOK)
② 右手の人差し指を立ててひじを伸ばしまっすぐ肩の高さまで上げます。
③ 右目だけで人差し指の先を見つめます。
④ その位置から目をそらさずに右腕をそのまま外(右方向)へゆっくり
動かします。そうすると、視界から指先が消えるポイントがあります。
これが『盲点』です。
*目は健康のバロメーター********
目はあなたの健康状態も映し出します。貧血や黄疸がひどくなると結膜の色に現れますし、眼底を見れば動脈硬化や糖尿病などの病気の進行を知ることもできます。*目の動きは“心”の動き!?********
視線が同じ場所にとどまっているように見える時でも目は常に動き続けている眼球運動のことで、この刺激が視覚能力の低下を防いでいるのだとか。
またマイクロサッカードと呼ばれる固視微動は、無意識に注意を惹きつけられているものの方へ反応が偏るのだそうです。つまり、マイクロサッカードには人の隠された思惑や密かな欲望が表れてしまっているらしいのです。
涙は乾燥から目を守りまぶたをスムーズに動かすための基礎分泌としての役割と、ゴミが入ったときなどに刺激を受けて洗い流すための役割があります。一方で嬉しい、悲しいといった感情の変化による涙は自律神経の働きが関係しています。自律神経には活動を活発にさせる交感神経と、穏やかにリラックスさせる副交感神経があります。感情が高ぶるとストレス物質が分泌され、それを落ち着かせようと副交感神経が働いて涙が出るのです。涙の中にはストレスによって分泌される副腎皮質ホルモンが含まれていることがわかっています。
泣くとスッキリするのは涙と一緒にストレス物質を排出しているからなんですね。
錯視にはさまざまな種類があり、大きさや角度・色が変化して見えるもの、止まっているものが動いて見えるもの、平面なのに立体的に見えるものなどが発表されています。
(右)ポンゾ錯視・・・遠近法によっておこる錯視(イタリアの心理学者によって1913年に報告された錯視)(画像はウィキペディアより)
(下)『ローラー』・・・知覚の時間差、眼球の固視微動によるもの(「立命館大学文学部教授 北岡明佳氏」によって発表された錯視)
2017年5月1日 9:00 AM ishigami