2017.10.15 口腔崩壊
- ここ数年でニュースやネット、健康情報番組などでも話題になっている「口腔崩壊」。とくに子どもの口腔崩壊が増加しているとして注目を集めています。
大阪、兵庫、長野、宮城、沖縄などで、公立・私立小中高等学校、特別支援学校を対象におこなった調査(学校歯科健診で要受診と診断を受けた児童・生徒の割合と、その受診動向と口腔内の実態)から「口腔崩壊」が深刻化していることが報告されています。
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この「口腔崩壊」とはいったいどういう状態のことなのでしょうか。「口腔崩壊」とは、未治療のむし歯が10本以上あったり、歯根しか残っていない歯が何本もあり、咀嚼が困難な状態を指します。
冒頭の5つの府県がおこなった調査では、学校歯科健診で要受診と診断された児童・生徒はおよそ3~3.5割で、そのうちの5~6割が未受診でした。また中学、高校と学年が上がるごとに未受診率も高くなる傾向にあり、高校では8割にものぼるということがわかりました。
そして口腔崩壊といった深刻な口腔トラブルを抱える子どもたちの家庭環境の実態調査からは、保護者の理解不足や無関心、経済的な問題など、子どもをとりまくさまざまな状況が影響していることもわかってきました。
12歳児の永久歯、一人当たりの平均むし歯本数(処置・未処置・喪失の合計)が1970年代の5本をピークに年々減少を続け、2016年度には0.84本と1本以下になりました。
食糧事情の改善で栄養状態が良くなったことや、むし歯の原因となるミュータンス菌の感染予防に対する知識の普及、また歯みがき剤に含まれるフッ素効果なども影響しているといわれています。それにもかかわらず、このような口腔格差が生じてしまうのはどうしてなのでしょう。
まずは子どもをとりまくわれわれ大人たちの意識の差を縮めていくことが大切なのかもしれません。
子どもの成長につれて、親が子どもに食後の歯みがきを促したり、仕上げみがきをおこなう機会はだんだんと減ってきます。
毎日元気で学校に通っている様子を見れば、お口の健康状態まで気にする親御さんは少ないでしょう。親も仕事や家事など毎日があわただしく、子どもの口腔内の異変にまではなかなか気づくことができないかもしれません。
そんな時、子どもの様子を知ることができるのが学校から持ち帰ってくる『お便り』です。「保健だより」などには子どもの成長や健康に関する情報が発信されています。目を通す機会には、ぜひお子さんの口の中も覗いてみてください。
大人も子どももむし歯予防に関する正しい情報を知って、幼少期からむし歯のない健康な口腔環境をいつまでも保っていきたいですね。
2017年10月16日 2:11 PM ishigami