2017.12.01 食物アレルギー
- 花粉、ペット、食物、ホコリ…今や3人に1人が何らかのアレルギーを持っていると言われるほど、日本のアレルギー人口は増加しています。そしてアレルギー体質の人が生まれて早い時期にまず最初に経験するアレルギーが食物アレルギーです。
生きるために必要な食事。それなのに毎日の食事が命にかかわる症状を引き起こしてしまうこともあるのです。
どうしてアレルギーを起こすのでしょう? そもそもアレルギーってどんなメカニズムで起きているのでしょう?
私たちの体には細菌やウイルスなどの有害な異物を排除する免疫機能があります。アレルギー症状は、この免疫機能が食物や花粉などの無害な成分にも過剰に反応してしまうことが原因です。
アレルギーの原因となる物質のことをアレルゲンと呼びますが、食物アレルギーの場合、卵、牛乳、小麦が3大アレルゲンと言われています。
これらに共通する性質は、タンパク質を豊富に含んでいること。このタンパク質が抗原となって免疫システムが対抗武器IgE抗体を作り出し肥満細胞と結合、IgE抗体が侵入してきた抗原をキャッチすると、肥満細胞から化学伝達物質ヒスタミンなどが放出されます。
じんましん、痒み、皮膚が赤くなる
咳、ゼイゼイする、呼吸困難
口唇の腫れ、目の充血、まぶたの腫れ
腹痛、吐き気、むかむかする、下痢
血圧低下、意識障害、アナフィラキシーショックこれらの症状が同時、または別々に現れます。
食物アレルゲンで乳幼児に圧倒的に多いのが卵、牛乳、小麦です。最近ではピーナッツやイクラのアレルギーも増えています。
大人になると多くなってくるのがエビやカニなどの甲殻類、魚やそばなどのアレルギーです。乳幼児期に見られるアレルギーは成長とともに減少していきます。これは消化吸収能力や腸管の免疫機能の発達、身体の成長によりアレルゲンに対して過敏に反応しなくなる耐性ができるためと考えられます。
それに対し大人になってからのアレルギーは、なかなか治りにくいのが特徴です。
遺伝 / アレルギー体質は遺伝するといわれています。しかし、アレルギー体質だとは思っていなかった人たちも次々とアレルギーを発症しています。
乳幼児期のアレルギー体質は両親の遺伝的要因で現れるのに対し、成人のアレルギーでは環境的な要因(生活習慣、公害、ストレスなど)で体質そのものが変化しているのではないかとも言われています。食生活の変化 / 海外からの輸入食品の増加で、キウイやアボカドといったアレルギーの出やすい食べ物を食べる機会が増えたことや、食品添加物も一因ではないかという説もあります。
昔は高級だったイクラなども最近では身近な食べ物になり、幼児期からよく食べられるようになってきました。
「食べ物+運動」⇒「食物依存性運動誘発アナフィラキシー」
アレルゲンとなる食べ物を食べて2時間以内に激しい運動を行うと、稀にじんましんやショック症状が現れることがあります。「花粉症+果物」⇒「口腔アレルギー症候群」
花粉症の人が果物や野菜を食べると口の中が腫れたり、口の周りにじんましんが出来たりすることがあります。
花粉症を引き起こす花粉アレルゲンが、特定の果物・野菜が持つアレルゲンと共通しているためと考えられていて、最近増加しているアレルギーのひとつです。
食べずに治す!除去食療法
アレルギーの原因となる食べ物をとらない、という最もシンプルで基本的な方法です。
乳幼児など腸内の免疫機能や消化吸収能力が発達するまでのあいだ行う治療法です。食べて治す!経口免疫療法
原因食物をごく少量から摂取して、徐々にその量を増やして耐性をつけていくという方法です。
これは生体にとって必要な食べ物などは口から摂取すると抗原として認識されず、アレルギーを起こさない「経口免疫寛容」というしくみを利用した新しい治療法です。
2017年12月1日 9:00 AM ishigami