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多くの人の一生は《健康→虚弱→要介護→終末期》という流れをたどりますが、この過程の「虚弱」を「フレイル」と呼びます。
あまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、英語の「Frailty(弱さ、もろさ、はかなさ)」を語源としています。
同じく英語の「Oral(口腔の)」と組み合わせて、口の三大機能「噛む」「飲み込む(嚥下)」「しゃべる」などの口腔機能が衰えることを「オーラルフレイル」と呼んでいます。オーラルフレイルは高齢者のみならず、十分な咀嚼をしなかったり、バランスの悪い食事によっては、若いうちから始まります。
フレイルには進行の程度によって段階があり、オーラルフレイルは、心身全体のフレイルの初期に現れ、最初は小さな変化のため見逃しやすいのですが、早目に気付き適切な対応をとることで改善が期待できます。オーラルフレイルと全体的なフレイルは相互に密接な関係があり、症状に気付いたら放置しないことが大切です。
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歯や口腔機能の状態の変化が原因のひとつです。お口の健康をセルフチェックしてみましょう。
①滑舌が悪くなる、話がしにくい
オーラルフレイルの最初の自覚症状で、舌の筋肉の衰えが主な原因。②口の中の乾燥と口臭
滑舌の次に多い自覚症状。加齢による唾液の減少や、舌の筋肉の衰えにより舌が下がり(落ちベロ)、鼻呼吸ではなく口呼吸になるのが原因。
又、ドライマウスになると舌苔がたまり口臭の原因になります。③最近、頬が垂れてきたと感じる
舌の筋力低下による「落ちベロ」により顔つきが変わる。その他、飲み込みにくい、噛めない食品が増える・固いものが噛めない、食べこぼし、わずかのむせなど、これらは口の筋肉の低下に加えて、唾液の減少も原因となります。
唾液には、食べ物の消化を助けたり、口の粘膜を保護する他にも、口腔内の汚れや細菌を洗い流して虫歯や口臭を防いだり、再石灰化を促して虫歯になりにくくします。
よって唾液の分泌量が少なくなると口腔内の衛生状態が悪化しやすくなり、虫歯や歯周病などにより歯の本数が減少し、あまり噛むことをしなくなり、口の周りや舌や顎の筋力・唾液が減り・・・と、負の連鎖は続きます。 -
食への欲求・関心が減少し、人生の楽しみのひとつである食事への満足度が低下します。そうして食欲や食事量が低下すると、栄養不足からの全身の機能低下へと進み、要介護状態へとつながる可能性があります。
加えて、滑舌が悪くなることで、他者との交流が円滑に行えなくなると活動性の低下につながり、オーラルフレイルは身体的なフレイル(虚弱)だけではなく、精神面や社会性にまで影響を及ぼし、さらにオーラルフレイルを進行させることにつながります。
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「食べる力」を最期まで守ることが極めて需要です。
1. バランスの良い食事
・1日3食、よく噛んで食べましょう。
・筋肉の基になるたんぱく質や、たんぱく質の吸収を促すビタミン類を意識して摂取しましょう。たんぱく質を構成するアミノ酸の組成が、人間の筋肉に近い、動物性たんぱく質がお勧めです。
・お口と身体の健康のために、糖質の摂り過ぎには要注意! 虫歯菌は糖質を好むのでお口の中のトラブルの原因になりますが、糖質過多は生活習慣病や老化の一因にもなりえます。2. 歯と口の定期的な管理
・正しい歯磨きで虫歯や歯周病を防ぎましょう。
・かかりつけ歯科医院で定期的に検診を受けましょう。虫歯や歯周病の早期発見・治療で、残存歯数を維持しましょう。3. 適度な運動
お口の筋肉が衰えないように、意識して積極的にお口を動かしましょう。口腔機能の改善に、口周りの筋肉を鍛えて唾液の分泌や飲み込むのに必要な筋肉を鍛えたりする“口腔体操”を取り入れていくことも必要です。「音読」や「カラオケ」なども効果的です。唾液分泌を促すガムを噛むのもお口の運動につながります。もちろん、体を動かし全身の筋力維持・筋力アップは心身全体のフレイルの予防になります。
4. 社会参加
(「オーラルフレイル」からの「社会的フレイル」「精神心理的フレイル」にならないために・・・)
趣味の仲間を持って交流したりし、孤食・社会的孤立・閉じこもりにならないようにしましょう。 -
参考文献:栗原毅、栗原丈徳『糖尿・がん・ボケ・寝たきり 口を鍛えればすべて解決する』株式会社主婦の友社
on 2022年3月15日
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