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正式な医学用語ではありませんが、ちょうど今ごろの時期に起こりやすといわれる『五月病』。
多くの人が聞いたことがあると思います。4月に新年度がスタートし、学校や職場など慣れない環境で気づかないうちに無理をしてしまっていませんか?
環境にうまく適用できなかったり、嫌なことがあって気分が落ち込み、何もやる気がしない・・・誰もがそんな経験をしたことがあると思います。
でもそれが解決したり、時間がたてば落ち込んだ気分も自然と消えていき、生活に支障をきたすようなことはありません。
しかし気分の落ち込みが非常に長く続き、日常生活や社会生活に支障をきたすようであれば、うつ病に罹っているということになります。うつ病は医学的には『気分障害』と呼ばれ、気分の落ち込みや意欲の減退などの抑うつを代表的な症状とするさまざまな病気の総称です。
コロナ前に比べ、2020年うつ病患者は2倍以上に増加しているのだそうです。
※経済協力開発機構(OECD):メンタルヘルスに関する国際調査 -
うつ病は、いくつもの誘因が複合的に影響しあって発病の引き金になっていると考えられています。
同じような経験をしても、誰もがうつ病になるわけではありません。環境の変化などストレスになるできごとと、それを受け止める側の性格も大きくかかわってきます。
生まれながらにもつ遺伝的な傾向と幼少期の家庭環境、今までの経験などで性格は形成されています。また、周りから見ればうらやましいと思えるようなできごとでも、うつ病の誘因になることがあるのです。
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一般的に「うつ病」というと、いくらよいことがあっても気分が晴れず、あらゆることに興味や意欲を失い、自責的で罪悪感にさいなまれるといった心の状態を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。
これが『メランコリー型うつ病』とも呼ばれる従来のうつ病の典型的な症状です。他にも以下のような特徴的な症状があります。
・大好きなこともできなくなる
・早朝から午前中にかけてもっとも憂うつになる
・不眠 ・食欲が低下し体重が減少する
・体調や気分の波は少なく、常に低迷している|定型うつ病になりやすい性格
・几帳面で生真面目
・仕事熱心
・秩序を重んじる
・人にものを頼まれるとノーと言えない
・自己犠牲的精神が強い傾向がある
・正義感、責任感が強い日本の経済成長を支えてきた団塊世代や、それ以前の世代の人に多く見られる性格で、20世紀までのうつ病の大部分を定型うつ病が占めていたことから、働き盛りの中高年の男性に多いということもうなずけます。
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一方で21世紀に入って「非定型うつ病」という新しいかたちのうつ病が注目されてきました。
『非定型』だからといってけっして少数派ではなく、全うつ病のおよそ4割が非定型うつ病ともいわれていて、まさに現代の新型うつ病といえるのではないでしょうか。
この非定型うつ病は、症状によっては定型うつ病と正反対のあらわれ方をするのが特徴で、以下のような症状がみられます。
・好きなことはできるが、嫌いなことはできない(体が鉛のように重く感じて動けない)
・夕方から夜にかけて憂うつになることが多い
・睡眠過多
・食欲が増し体重が増加する
・体調や気分の浮き沈みが激しい
・他責的傾向が強くみられる
・ささいなことでカッとなってキレる|非定型うつ病になりやすい性格
・自己中心的
・自己愛傾向が強い
・頼まれごとも容易に断ることができる
・他人の評価が気になる非定型うつ病は発症する人の性格やその症状から病気と気づかれにくく、わがままだと誤解されることも多いようです。
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専門医のもと、うつ病と診断された場合には適切な治療を受けることになります。治療のかなめとなるのは抗うつ薬による治療です。
そして家族をはじめとした周囲の理解と協力、十分な休養と、必ず治ると信じ根気よく治療を続けていくことが大切です。
on 2022年6月1日
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