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毎年5月31日は世界保健機関(WHO)の定める世界禁煙デーです。また、厚生労働省では5月31日から6月6日までの1週間を禁煙週間としています。
今年の禁煙週間のテーマは 「受動喫煙のない社会を目指して ~私たちができることをみんなで考えよう~ 」です。ニコチンの依存性や受動喫煙の危険性を考えたとき、喫煙が単なる個人の嗜好による習慣にとどまらない社会全体の健康問題として、全国民が取り組むべき課題となっています。
タバコの煙には喫煙者がタバコから吸い込む「主流煙」、火のついたタバコの先から出てくる「副流煙」、そして喫煙者が吐き出す「呼出煙」の3種類があります。
『受動喫煙』とは、このうちの副流煙と呼出煙を吸い込んでしまうことをいい、この受動喫煙が原因で亡くなっている方(肺がん、虚血性心疾患、および脳卒中)が年間1万5千人にも及んでいます。
女性が喫煙するリスクは自身だけではなく、胎児や乳幼児への影響です。妊婦に喫煙習慣があると、胎盤への血流が減少し、胎児の成長に必要な酸素や栄養が十分行き届かなくなってしまいます。
その結果、流産、早産、低体重児出生といったリスクが高まります。また、受動喫煙で亡くなっている1万5千人のうち、73人が乳幼児突然死症候群(SIDS)と報告されています。
他にも、タバコを吸わない女性の肺がんと夫の喫煙の影響を調査した国立がん研究センターの報告があります。
それによると、夫が喫煙者の女性は、夫が非喫煙者の女性に比べて約2倍、肺腺がんのリスクが高いことがわかりました。タバコの煙には5000種類以上もの化学物質が含まれています。そのうち約200種類は有害で、60種類は発ガン物質ということがわかっています。
代表的なものには「ニコチン」「タール」「一酸化炭素」があります。
ニコチンは中枢神経や末梢神経に働きかけ、神経細胞の興奮を引き起こします。
また耐性も高く、長く吸っているうちに10本が20本、20本が30本というように、どんどん増えていってしまうのです。
タバコの葉に含まれている有機物質が熱分解され、約4000種もの化学物質が結合してタールになります。
タバコのフィルターに茶色く付着する、べっとりとして粘り気のある油状の液体です。
体内に一酸化炭素が入ると、血液の酸素運搬機能が阻害されるため、身体が酸欠状態になってしまいます。
喫煙を恒常的に続けることで体内は慢性的な酸欠状態となり、心臓はより多くの血液を全身に送ろうとしてがんばるため、循環器系に大きな負担をかけることになるのです。-
あなたが喫煙者であれば、身近にいる大切な家族も受動喫煙の危険にさらされています。
医科の禁煙外来では、一定の要件を満たせば健康保険による治療が適用されます。また、皮膚や口腔粘膜の接触面からニコチンを徐々に体内に吸収させ、ニコチンの離脱症状を軽減しながら禁煙を補助するニコチンパッチやニコチンガムはスイッチOTC医薬品として、薬局で購入することもできます。
これらを利用しながら動脈硬化や肺がんなどの健康被害のリスクを減らし、ご自身の健康維持と大切な家族や友人への望まない受動喫煙「ゼロ」を目指しましょう!
(参考サイト:厚生労働省_禁煙して心身の健康を取り戻そう / なくそう!望まない受動喫煙)
on 2025年5月30日
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