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「ぱくっ、もぐもぐもぐ、ごっくん。」
これは私たちが食事の際に何度も繰り返す、一連の動作を表現したものです。一見簡単に思える動作ですが、じつはとても複雑で、口や舌、のどのさまざまな機能が上手に連携をとりあい成り立っています。普段私たちは、とくに意識することなく食べ物を口へ運び、咀嚼し、飲み込む動作や、言葉を発する「発話」を行なっていますが、脳卒中などの病気の後遺症や加齢が原因でうまくできなくなってしまうことがあります。
介護を必要とする高齢者が年々増加する中、専門的な口腔ケアや口腔機能訓練を提供する医療施設も増加してきました。
このような施設では赤ちゃんからお年寄りまで、すべての年代を対象に「摂食・嚥下障害」や「言語障害」の機能回復を目指したリハビリを行っています。50代、60代、まだまだ元気に毎日過ごしているよ、という人でも、加齢とともに身体能力も徐々に低下していきます。
フレイル(虚弱)とはまさに加齢によって生活機能が低下していく状態のことであり、一方で適切な支援や訓練で機能の維持向上が十分見込まれる状態のことを指しています。
まずはご自身や、同居の高齢家族との食事や会話を意識してみましょう。以下のセルフチェックを参考に、何か不安を感じることがあれば、かかりつけの歯科医院へ相談しましょう。
・飲み物を飲んでむせたり、せき込むことがある
・食べ物が飲み込めずに、ずっと噛んでることがある
・口から食べ物がこぼれることがある
・食事中に頬の内側や舌を噛むことがある
・食べ物やすっぱい液が胃からのどに戻ってくることがある
・食べ物がのどに残る感じがある
・食べるのが遅くなった
・話が聞き取りづらいと言われることがある
チェック項目の内容は口周りの機能全体の衰えによって起こりますが、「食べる」一連のプロセスを考えたとき舌が担う役割はとても重要です。
「摂食」(ぱくっ):
食べ物を箸やスプーンで口まで運ぶのと同時に舌も受け取る準備をします「咀嚼」(もぐもぐ):
あごや頬の筋肉と連携して、食べ物を口の中でまとめながら右の奥歯や左の奥歯へと動かし咀嚼を助けます「嚥下」(ごっくん):
十分咀嚼したら、食べ物を舌の上にまとめて上あごへ押さえつけると同時に、のどの筋肉を絞り食道へ送り込みます加齢によってこれらの機能や認知機能が低下すると、誤嚥や窒息のリスクが増加します。
深呼吸:
両手をおなかにあて、鼻からゆっくり息を吸い込みます。(おなかを膨らませ手を押すように)
吐くときは口から(口をすぼめてゆっくりと)吐いておなかを徐々にへこませます。首の体操:
左右交互にゆっくり後ろを振り返ります。次は左右にゆっくり首を曲げます。2回ずつ行いましょう。肩の上下運動:
両肩をぎゅっとすくめるように同時に上げ、力を抜いてすとんと下へおろします。2~3回繰り返したら前からぐるっと肩を回します。ほっぺた体操:
頬を思い切り膨らませます。5秒間キープしたら次は頬を思い切りすぼめます。ここも5秒間キープ。舌の体操:
口を開けて舌できるだけ長く出したら、上下に動かしたり、出したり引っ込めたりします。キシリトール入りのガムを噛む、友達や家族とカラオケで歌うなど、身近なことを楽しく継続してお口周りを鍛えることもできます。
人生100年時代、「楽しく」「おいしく」そして『安全に』食事できることを目指して、生き生きと過ごしたいですね。
on 2020年10月14日
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